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        てんかん、脱力睡眠発作、幼児共生精神病 第一回入門講座 

                               治療編  
             
      週刊   1998.08.03.   通しNo.13          読者数 82 人

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          目次        1 てんかん脳波(病理編に編入)
                      2 仮設自由損傷症候群の治療
             
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下の図はすべての精神疾患に共通の、「発症に至る過程」を表わしています。
横のラインに並ぶ「疾病実体」「疾病内発」「疾病解発」の三事項(/ ̄\で
結ばれている)は、それぞれの下の枠内の各「疾病現象(○○因)」を形成す
る際に影響力を及ぼす、一番上の【扶養者圧】及び【人工及び自然環境圧】と、
一番下の【本能身体の存在性と、その生長過程】の、その行使の様相です。
但し、上項の【扶養者圧】及び【人工及び自然環境圧】の力は、矢印が下に
向かっている「疾病触媒」と「疾病触発」をもっぱらの力とし、それぞれ二手
に分かれて【本能存在】を刺激して、形を変えて再び疾病現象のラインに並び
ます。



                   〈精神疾患の発症力学〉


                                          【人工及び             
             【扶養者圧】                 自然環境圧】                 
                                                     
   疾病実体      疾病触媒      疾病内発      疾病触発     疾病解発       
         ___________      ___________            
        /          →         \  /          →         \         
  ┌───┐    ┌───┐    ┌───┐    ┌───┐    ┌───┐            
  │本態因│    │現象因│    │発病因│    │誘発因│    │発作因│→発作      
  └───┘    └───┘    └───┘    └───┘    └───┘            
     ↑          ↓ ↓         ↑↑         ↓ ↓          ↑        
      |       /   \        ||      /   \         |          
      |      /       \    ||     /       \    |          
  ┌────┐              ┌─────┐              ┌──────┐        
  │本能存在│           │本能的生長│              │本能存在運動│        
  └────┘              └─────┘              └──────┘   
     
      ∴発病因、発作因、誘発因はそれぞれ発病契機、発作契機、誘発契機に
    同じです。

     ∴左から右へ、発病の課程であると同時に、罹患後の病状の憎悪課程を
    表します。「病状の憎悪」は精神病などで”てんかん”などの「発作」
    に対応する状態です。



  上図を、最初の発病が起きるまでの過程と考えてください。以後、再発、ま
た罹病中の憎悪の度に、また罹病を継続させる力として、この過程が潜行的に
踏襲されます。これは受精卵が胎内の生長過程で生物進化の系統発生を繰り返
すことに似ています。
  「疾病触媒(現象因)」は、既に胎内に居るときから扶養者が患者を育成す
ることによってつくる「疾病素因」です。扶養者は「社会の出先機関である」
と捉えることができます。
  「疾病実体(本態因)」は、本能身体の先天的な「反自由の調和力」を示し
ます。この調和力が「疾病触媒」で付与された「自由の圧力」との抗争が疾病
実態です。


 「疾病内発(発病因)」は、本能身体の自立と自律を中心とする存在の生長
が主体にもたらす自然必然的な発病因子を指します。たとえば自律の課題のひ
とつは、求愛して睦み、子供を設け、これに愛情をそそいで育てるという大き
な事業を与えますが、主体性の発達はこの本能の自然必然性に突き動かされて
成されるのです。


 生存ぎりぎりの栄養しか摂らない場合には「生長の完成(二次性徴)期」は
顕れません。従って、十分な栄養刺激がホルモンをつくり、筋肉をつくり、脂
肪をつくってはじめて自律の課題を結果します。つまり、主体性の成長は本能
身体の主導を受けて、これに従うのです。
 存在は生誕から死まで、自立、また自律の励起という二つのアイデンティテ
ィ確立(確律)のピークを有する登り下りのアイデンティティ変化に対応しな
ければなりません。更年期は子供を胎内に宿すという重い役から解放された女
性にとくに顕著に顕れますが、これは”死の準備”というアイデンティティ確
律期の始まりを告げています。


  この「発病因」に、「現象因」と「誘発因」が関与して、「発病因」を中核
にコンプレックス(複合体)を形成し、「発病因」を強化していきます。自律
期に扶養者から、また社会から「自由の力」の抑圧を受ければ、自律の内省に
よる根本情態性との対峙の緊迫状態に於て主体性の破綻が起こり、発病に至り
ます。
 暑さや寒さなどの自然環境も「誘発因」となり得ます。


   「発作因」は、「発病因」の動態です。図の右下の「本能の存在運動」は
本能身体の自律の課題を遂行するために、4つの本能価値に基づいて食物の摂
取や配偶者の獲得といった行動におもむくことです。つまり、日々の生活を為
していくことです。
 存在の時空が展開しないのならば、問題もまた生ずることはありません。存
在が自ら時空を切り拓いていくのは、存在が環境世界から独立しているからで
す。



 この独立した存在は、環境世界を自体とする対自体の弁証法の機能の役割を
担うために在るのです。これは、既に何度も述べたように”存在が自らを生か
していくためには他の諸存在を必要とする”ことを言っています。【環境世界
+自存在】の弁証式は、”生きる”ことの本質を表わします。ここで間違って
はならないのは、環境世界が存在の本質=質量の「自体」で、個々の存在は機
能としての「対自体」であるということです。



  調和する世界の存在は、自己の身体は環境世界の中から生えてきたことを知
っています。身体の質量は環界のもので、私達の身体に備わっている生きるた
めの諸機能は、自分を生かすことで、環界の調和を配慮することに目的を持っ
ています。
 私達の身体の質量は環界に帰入され、それは環界そのものです。私達の生き
んとする努力を行なう意識は、環界という「自体に対する質量なき機能」であ
ることを自覚しなければなりません。



 私達、生物の身体のレベルでは、その身体は日々の糧でつくられており、そ
の糧はまた諸々の原子から成っています。私達の身体はこの原子それ自体であ
り、「原子の集合」という質量=本質に対して、脳神経機能で生成された「わ
たし意識」が「原子の集合」を維持展開していくために、機能となって働く姿
が、『存在』といわれるものです。


  存在の生長の目的は独立であり、自立して自律することです。それは”環境
世界の調和恒存のために存在がある”ことを自覚することに他なりません。
”自律の課題”は、実は役に立つ社会人であれと激励しているだけではなく、
存在界の全体に対しての関与と責任の自覚を促しています。
 ”自律”は”存在することの自覚”ならば、日々の生活を存在に遂行させる
4つの価値は、”存在”の語と等価な”存在そのもの”を指します。従って、
”自律”は、『4つの価値を持つ存在の自覚』のことです。


      ∴集団と家族の本能は「種の本能」です。休息と食の本能は「個の本能」 
        です。
        休息は環界に親和することであり、食は自らを長らえさせるために、
        食物連鎖の全体を保存しなければなりません。大地、水、空気は、そ
        の無くてはならない舞台なのです。


 主体性の自律は内なる「本能の存在運動」に触発されて起こります。人間以
外の生物はみな親から自律して、単独の知恵を働かして環界の調和の下に生き
ようとしています。
 人間だけが親や集団に頼って、いつまでも真の単独者として自律できないで
いるのです。この”自律”は存在の真の価値に自らを調律することで、精神主
体性のことに他なりません。