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                 小児神経症 第一回入門講座 

                        病理編  3
             
  週2〜3回配信   1998.11.06.    通しNo.7       読者数 250 人

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             目次           主体性崩壊
                 〔睡眠時主体性崩壊〕
                 〔覚醒時深崩壊〕     
                                       
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                         〔覚醒時深崩壊〕     


 小児神経症では睡眠時にのみ主体性崩壊が起こりますが、次に見る特殊な場
合に主体性の深い崩壊が起こります。


⇒http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-29.htm
              〈深崩壊〉


 そのひとつは「熱性痙攣」で、いまひとつは「息止め発作」、「泣き入り引
付け」、「呼吸停止発作」などとも言われる「癇癪発作」です。
 よく似たものに【小児心身症】の付随症状である「憤怒痙攣」があります。


 熱性痙攣は「上位自立葛藤」で、癇癪発作は「偽自立の(+・+)域」で起
こるものです。
 癇癪は神経症の上位自立葛藤の偽自立の症状です。「癇癪発作」はこの偽自
立症状に付随して現象する覚醒時の症状です。一〜六才にあり、特に自立葛藤
が最大になる三〜四才に集中して起こります。


 癇癪は自立葛藤のもたらす症状ではあるが、自立葛藤それ自体ではありませ
ん。「癇癪発動」は真の自立から退避した「仮象の自立」のごり押しです。
「癇癪発作」に於ける主体性の深崩壊その他の現象は、小児にとってはまった
く予期せぬ出来事であり、それ故仮象の自立に関して更に付随する症状に過ぎ
ないものです。


 「熱性痙攣」もまた自立葛藤そのものに於てではなく、自立葛藤がもたらす
根本情態性反応である「発熱」を原因とします。小児の原主体性は”「発熱」
という本能の根本情態性発動”に打ち倒されて「深崩壊」するに至るのです。
 自立葛藤による根本情態性捕縛がある上に、その反応による急性の発熱とい
う、重畳される根本情態性の発動が、主体を自立葛藤の深い内省域にまでおび
き寄せ、そこで主体性を崩壊させるのです。


 tenp-33 のA〈偽自立=原主体レベル〉の座標は、B〈自立葛藤=自立主体
レベル〉の座標から根本情態性を強引に跳ね退けて達成した「仮象の自立」で
す。その(+・+)域に納まる癇癪主体は、その四領域の中でも、根本情態性
を徹底的に排除した主体です。
 根本情態性を排除する力が大きいことは、根本情態性への抑圧がそれだけ大
きいことです。根本情態性は本能の情官態です。もし存在から本能を徹底的に
排除してしまうなら、存在はそこで終焉します。存在の基体は本能なのです。


 「癇癪」により急激に自由量が拡大すると、本能の根本情態性の押し返しは、
背水の陣を布いた反跳となるでしょう。
 「癇癪発作」といわれるのは、主体の崩壊直前に、「泣き入り引付け」や
「息止め発作」の名があるように、癇癪を起こして泣き喚いている呼気の状態
で、突然に息止め発作が起こるからです。息止め発作は根本情態性が発動され
たことを示しています。


 根本情態性は不安、絶望、混沌、恐怖の情官態です。驚いたときに人は息を
吸います。アッと声を瞬間的には上げるが、次の刹那にはもう吸気状態になっ
ているはずです。根本情態性は救いを求める情官であり、その呼吸状態は充分
な酸素を肺腑に求めているからです。


 この「吸気」が泣き喚く「呼気」とぶつかり、そこで息が止まることになり
ます。息の根を止めるそれほどの力である根本情態性が、息止め発作を前兆に
して、幼児の無制限性の原自由を押し潰すのです。
 幼児は「てんかん」児と同じく、深崩壊していくことになります。息止め発
作の症状が出た時点で、留まることもあります。


 患児の頭を軽く叩くだけで、息止め発作から主体性崩壊に至ることもありま
すが、際限を知らない無制限性の原自由に於ける癇癪の性は、些細な障碍にも
耐性を喪ってしまっているのです。