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                 小児神経症 第一回入門講座 

                       病理編  2
             
   週2〜3回配信   1998.11.03.    通しNo.6       読者数 254 人

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            目次          1  葛藤症状
                           2  根本情態性反応  
                                                                 
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          〈小児神経症の自立葛藤症状〉
                                                                                
┌─┬───┬──────┬───────────┬─────────┐      
│時│表現 │《上位葛藤》│ 《中位葛藤》     │ 《下位葛藤》  │      
│空│形式 │抵抗できない│ 抵抗したくない      │抵抗しなくともよい│      
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤      
│権│意志型│対人恐怖  │対人場面の緘行動と緘黙│対人場面の無抵抗 │      
│ │   │      │           │         │      
│力│運動型│遺精    │弄精         │対人場面で逃げる │      
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤      
│支│意志型│暗闇恐怖  │暗闇場面の緘行動と緘黙│暗闇場面の無抵抗 │      
│ │   │      │           │         │      
│配│運動型│遺糞    │弄便         │暗闇場面で逃げる │      
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤      
│翻│意志型│一人恐怖  │一人場面の緘行動と緘黙│一人場面の無抵抗 │      
│ │   │      │           │         │      
│弄│運動型│遺尿    │弄尿         │一人場面で逃げる │      
├─┼───┼──────┼───────────┼─────────┤      
│所│意志型│動物恐怖  │動物場面の緘行動と緘黙│動物場面の無抵抗 │      
│ │   │      │           │         │      
│有│運動型│遺唾    │弄唾         │動物場面で逃げる │      
└─┴───┴──────┴───────────┴─────────┘      

        ∴「意志型」は「感情型」、「運動型」は「官能型」です。






         〈通常神経症主体に於ける偽自立、及び葛藤時の根本情態性の様態〉
                                                                                
                                                                                
               (+・−)域                                                   
                                      │情                                      
            ┌──────┐          │官                                      
            │上位自立葛藤│          │          (+・+)域                  
            └──────┘          │                                        
          偽自立様態では知感覚が      │    自立の成功(満足=調和)            
          (―)域にあり、ここから    │                                        
          根本情態性が侵入して、      │                                        
          自立レベルに引き戻され    /│\                                      
          自立葛藤状態に入る。   /   │   \                                 
                              / 自立 │      \                               
            ↑ ↑ ↑     / できない│(癇癪) \                             
              ↑ ↑ ↑  /  (不機嫌)│の偽自立    \             知感覚      
      ────────────────┼────────────────        
              ↑ ↑ ↑  \(甘え)自立│(わがまま)/                          
        ┌───────┐ \ しなくと│自立した / 偽自立様態では情官         
      A│  知感覚性の  │    \もよい│くない/   が(―)域にあり、ここ     
        │根本情態性反応│       \   │   /    から根本情態性が侵入して、     
        └───────┘          \│/      自立レベルに引き戻され       
      ┌───────────┐    →│→→    自立葛藤状態に入る。         
    B│情官性の根本情態性反応│    →│→→        ┌──────┐            
      └───────────┘    →│→→        │中位自立葛藤│            
          ┌──────┐            │            └──────┘            
          │下位自立葛藤│            │              (−・+)域              
          └──────┘            │                                        
                                      │                                        
            (−・−)域              │                                        



         ※中央の枠内は偽自立(自律)状態と、内包する葛藤。
      ※その外側は自立(自律)葛藤状態。 
         ※(−・−)域では、根本情態性は情官と知感覚の二つに侵襲される。       
         ※(−・−)域の情官性は価値性ともいう。
         ※(−・−)域からの2領野への矢印は、根本情態性の侵襲という
      観点から示したもので、2領野の現時点での各(+)性分が
      根本情態性反応を起こすときは、(―)に転じるので、
      その転落方向は、示したものとはそれぞれ反対の方向である。              
                                  

   ∴tenp-31(成人神経症 NO.5)の、〈偽自律と自律葛藤、及びその存在度〉
    では、「根本情態性が侵入して自立レベルに引き戻される」ことを、
     「ベクトル」を用いて説明しているが、同じことである。

     ∴”癇癪、不機嫌、わがまま、甘え”の偽自立様態では、根本情態性反応は
    避けられている。
     そのうち、癇癪の偽自立様態は、「乳幼児返り」、即ち「原自由」の
    (+・+)域で安住し得るが、他の3態では主体度の(―)性分を抱いて
    不安定である。
    この不安定性は、偽自立様態から自立葛藤状態に常に引き戻される不安
    にあることを示す。即ち、”自立しなければならない”が”自立できない、
    自立したくない、自立しなくともよい”という葛藤である。

    偽自立の各主体度は、乳幼児の「原自由のレベル」に住し、自立葛藤の
    各主体度(自立度)は「自立(前意識)自由のレベル」にある。
    上の座標の内枠と外枠は生育史的レベルを異にしている。                   
        下の二つの座標はそれを示す。





      A〈偽自立=原主体レベル〉         B〈自立葛藤=自立主体レベル〉  
                                                      ∴自立度の座標

                      │                                    │                  
                      │                                    │                  
                      │                     自立しなければ │                  
          不機嫌      │    癇癪            ならないが、   │   自立の理想     
                      │                                    │ (前意識的主体) 
                      │                     できない       │                  
                      │                                    │                  
      ────────┼────────    ────────┼────────  
                      │                                    │                  
                      │                     自立しなければ │ 自立しなければ   
                      │                     ならないが、   │ ならないが、     
           甘え       │   わがまま                         │                  
                      │                     しなくともよい │ したくない       
                      │                                    │                  
                      │                                    │                  


        ∴右の座標の上に、左の座標を重ねる。その上下となった座標の、上の
     座標のそれぞれの偽自立度域からの真下への転落が、下の自立葛藤
     レベルの座標のそれぞれの自立度域となる。
     但し、(+・+)域の癇癪の偽自立度は根本情態性からの引力はなく、
     従って、転落せずに偽自立に居続ける。
     右の座標の(+・+)域は自立した「前意識的主体」である。



 


              〈通常神経症の偽自立から崩壊主体へのレベル推移〉


              A                      B                      C
    〈原主体レベル〉    〈自立主体レベル〉      〈崩壊主体レベル〉
            偽自立                   葛藤                    瓦解               
                                                                                
              │                      │                      │                
      不機嫌  │   癇癪  →→→→→→ │  自立 →→→→→→→ │  崩壊          
              │(偽主体)            │(仮想主体)          │(本能存在)    
              │                      │                      │                
  ──────┼───────────┼───────────┼──────    
              │          →          │          →          │                
              │                      │                      │                
       甘え   │ わがまま             │                      │                
              │                      │                      │                
                                                                                
      根本情態性切り捨て       根本情態性捕縛          根本情態性自態


    ※レベル推移は「相転移」という方がより適切です。
      ※A〈偽自立=原主体レベル〉と、B〈自立葛藤=自立主体レベル〉
     の座標に、Cの座標を加えたものです。  
        ※3つの座標を横並びに連続させています。
        ※種々の意味を含んでいるうち、下の表記を中心に見てください。
                癇癪  →→→     自立 →→→     崩壊                           

    ∴Bの「根本情態性捕縛」は主体の力が毀損して、主体に抑圧されていた
   本能の叫び(根本情態性)が浮上してきた状態。
      AからBに移行すると、はじめに根本情態性侵襲状態、序で捕縛状態
   に入り、順次、根本情態性反応が大きくなる。
   Bの自立度の座標上の根本情態性最大値は仮想の(+・+)域である。
   Cでは完全な捕縛状態となり、主体性崩壊が起こる。

  ∴Cは根本情態性の完全捕縛であり、この状態では本能は「自由状況」に
   解放されている。
   根本情態性完全捕縛の状態でブラックホールに吸い込まれると、
   そこは反宇宙であり、反宇宙世界では「根本情態性自態」の様態に転じる。
   根本情態性の自態は、たとえば”腹が空く”という軽い恐怖の日常に展開
   される様態である。
   こうして同じ様態が、別の意義座標に組み込まれると、相転移を起こす。
   AからBへの移行も、この相転移である。

              「自由状況」:
    ⇒http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-7.htm
           〈通常崩壊の崩壊主体の構造〉

    ∴Bは本来の自立主体の座標ではなく、自立葛藤主体の座標である。
   従って、本来の「自立主体」の座標からも、Bの「自立葛藤主体」の
      の座標に相転移があり、Bは多系の転移相を持つ。

    ∴精神神経症主体では、「自立葛藤主体」は偽自立からの相転移はなく、
   「自立主体」からの相転移か、乃至は通常神経症主体からの横滑り転移となる。

 




                 〈根本情態性反応―意志了解性〉

                ∴価値性は感情性ともいう。

 ┌───┬──┬───┬───────────────────┐           
 │   │集団│知覚性│赤面                 │            
 │   │  │   │                   │         
 │   │  │価値性│発熱、発汗              │         
 │      ├──┼───┼───────────────────┤            
 │根  │家族│知覚性│胸部圧迫、蒼面            │            
 │本意∧│  │   │                   │         
 │情志感│  │価値性│動悸、失神、眩暈           │         
 │態了情├──┼───┼───────────────────┤            
 │性解性│休息│知覚性│吃音、排尿困難            │            
 │反性∨│  │   │                   │         
 │応  │  │価値性│呼吸促迫(気道、あるいは横隔膜の震え)│         
 │   │  │   │震え声、頻尿             │            
 │      ├──┼───┼───────────────────┤            
 │   │食 │知覚性│嘔吐(悪心性)、空気嚥下(呑気)   │         
 │   │  │   │                   │         
 │   │  │価値性│悪心(胃の震え)、腹部膨満(腸管の  │
 │   │  │   │運動異常、げっぷ、ガス)       │  
 └───┴──┴───┴───────────────────┘              
         ∴空気嚥下症は、食事時や唾液分泌昂進により、
        呑み込む動作と一緒に空気を嚥下します。




                 〈根本情態性反応―運動発動性〉

           ∴価値性は官能性ともいう。

 ┌───┬──┬───┬────────────────────┐         
 │   │  │感覚性│緊張性頭痛(頭蓋筋の痙縮による)    │        
 │   │集団│   │痛み(各筋肉)             │        
 │   │  ├───┼────────────────────┤           
 │   │  │価値性│痙攣(各筋肉)             │        
 │   ├──┼───┼────────────────────┤        
 │   │  │感覚性│心臓の痛み、胸部圧迫、生理痛          │        
 │   │  │   │睾丸痛、皮膚感覚痛、顔面神経痛     │        
 │   │家族├───┼────────────────────┤        
 │根  │  │   │心臓痙攣、血管痙攣、失神(心臓、血管痙攣│        
 │本運∧│  │価値性│性)、声門痙攣、顔面神経痙攣、眼瞼痙攣 │        
 │情動官├──┼───┼────────────────────┤        
 │態発能│  │感覚性│膀胱痛、腎臓痛、眼痛(視神経、眼筋)  │        
 │性動性│  │   │息が詰まりそうに込み上げてくる熱感   │        
 │反性∨│休息├───┼────────────────────┤            
 │応  │  │   │しゃっくり(横隔膜痙攣)、膀胱痙縮   │            
 │   │  │価値性│呼吸促迫、眼筋細動、膀胱括約筋痙攣   │        
 │   ├──┼───┼────────────────────┤        
 │   │  │感覚性│痛み(胃、胆道などの痙攣性)、歯痛、腹痛│        
 │   │  │   │嘔吐(痙攣性)、胃の収縮感・圧迫感・括れ│        
 │   │食 │   │感、ヒステリー球(食道の絞縮)、肝臓痛  │        
 │   │  ├───┼────────────────────┤        
 │   │  │   │便秘(大腸の痙攣による)、胃痙攣(幽門、│        
 │   │  │価値性│噴門等)、下痢(小腸の痙攣による)   │        
 └───┴──┴───┴────────────────────┘           
    ∴顔面筋は骨格筋(集団)でもあり、表情筋(家族)でもある。
    ∴過敏性腸症候群は、下痢、便秘、腹部ガス貯留、胃痛、腹痛など。
    ∴熱性痙攣は、根本情態性反応で「発熱」して「深崩壊」に至る。
    ∴癇癪発作(泣き入り引付け、息止め発作)は、
   てんかん発作に似た機序で「深崩壊」に至る。




             〈本能存在の身体器官による存在の四時空の表出〉

      ┌─────┬──────────────────────┐              
   │ 集団    │    骨格筋                                  │              
      ├─────┼──────────────────────┤              
   │ 家族    │  生殖器、循環器系、表情筋、              │              
   │     │  触覚、痛覚、圧覚、温冷覚を含む皮膚感覚  │              
     ├─────┼──────────────────────┤              
   │ 休息    │  呼吸器系、視覚、尿器系                  │              
      ├─────┼──────────────────────┤              
   │ 食      │  口腔、食道を含む消化器系                │              
      └─────┴──────────────────────┘              






              〈睡眠時主体性崩壊〉 

 ┌───┬──────────────┬──────┬────────┐      
 │   │    自由        │自由の無  │根本情態性   │     
 ├───┼──────────────┼──────┼────────┤     
 │感情型│夢中遊行          │夢魔    │夜驚      │     
  │   │                            │            │                │      
 ├───┼──────────────┼──────┼────────┤     
 │   │夜精(権力)・夜糞(支配) │      │叫び、走り回り、│     
 │官能型│              │金縛り   │        │     
 │   │夜尿(翻弄)・歯軋り(所有)│      │抱きつく=夜驚 │     
 └───┴──────────────┴──────┴────────┘   
   
    ∴夜驚では頻脈、呼吸促迫、発汗、立毛、散瞳等の身体症状がある。
      感情型では上半身を起こして眼を剥き、叫び声を出す。

    ∴表現型は混交し得る。夢中遊行中に夜尿を行なったりする。
 
   ∴崩壊時の「歯軋り」は”自由”の概念の了解です。
   歯軋りは口唇を含む口腔の快に結び付いています。
   歯軋りをするとき唾液の分泌が盛んになるので、
   歯軋りを「夜唾」としても同じです。
   あるいは歯軋りのない「睡眠時の涎」も同じカテゴリーです。