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成人神経症 第一回入門講座
病理編 1
週2〜3回配信
1998.10.02. 通しNo.5 読者数
230 人
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目次 1
自由損傷症候群
2 偽自律と自律葛藤、及びその存在度
3 通常神経症と精神神経症
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精神病理学 http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/psycho.htm
参考資料1 http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/reference-1.htm
参考資料2 http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/reference-2.htm
本号の参照URL
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-8.htm
<精神主体性の存在度>
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-15.htm
<自由の行動から見た生育史>
{参考資料1}<自己主体性の理想生育史>
{参考資料1}<存在観=アイデンティティの形成>
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-1.htm
〈”根本情態”域と根本情態性が発動される存在度〉
〈存在の意志発動の強度=自由力強度〉
{精神病理学}〈自由拡張症候群〉〈虚偽症候群〉〈狂気症候群〉
〈判断停止症候群〉〈根本情態性遮蔽症候群〉
注:〈〉カッコ付き検索
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-21.htm
〈自由拡張症候群の存在度〉〈自由損傷症候群の偽自律の存在度〉
〈自由損傷症候群の自律葛藤の主体度〉
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-19.htm
<仮想主体性>
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-20.htm
<精神神経症と精神病発病時精神神経症>
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-5.htm
<主体性の様態と疾患>
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自由損傷症候群
「環境破壊」問題は、存在の四時空のすべてに関係しますが、人間に焦点を
当ててその破壊の実態を把握する場合には、「人類生態研究=環境破壊に就い
て勉強する」というような理念を立ててから、資料収集に着手します。
この理念は個別理念といい、環境問題全般を追求しようと意欲する際の理念
は、一般理念と呼ばれ、それは存在の四時空に亘る”感謝、愛、善、美”です。
一般理念:以下の二つの座標
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-8.htm}
<精神主体性の存在度>
⇒{精神病理学}〈自由拡張症候群〉
注:〈〉カッコ付き検索
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/psycho.htm
一般理念の原理の下に、個別理念は更に階層的に構成されます。「環境破壊
に於ける人類生態研究」は、「地球生態系の理想状態の研究」の下位個別理念
です。こうした理論的研究は、また環境破壊の社会的認識を現実化させる実践
行動と平行してある故に、その理論に真理が吹き込まれるのです。
書籍を出版する、裁判を起こす、政治の改革に参加する、インターネットで
広める、小さな課題大きな課題の勉強会を開き、また個人でやれる範囲の行動
をする、等々が実践ですが、この実践行動にはまた運動論という理論が付随し
ます。闇雲に突っ走っては破綻するばかりです。
一般理念は上にみた精神主体理念と、自己主体理念のこの二つがあります。
人はこのいずれか、あるいは両方を、自発、また他発によって行動の前に据え
ておく必要があります。
個別理念はこれによってはじめて可能となるのです。個別理念も当然、精神
主体理念と、自己主体理念のこの二つの類別があり、また自発、他発の両方で
あることができます。
こうした一般理念、個別理念を自分で立てることができずに、扶養者、また
学校、友人、その他社会から付与されて、自発できない場合に、神経症という
疾病に罹患しているということになります。
六歳を過ぎる頃、そろそろチックなどの症状が出始め、成人神経症が始まり
ます。しかし、成人神経症は、第二反抗期が本格的に始まろうとする十歳から
十二歳頃に発症期のピークが開かれるとみてよいでしょう。
成人神経症は小児神経症に引き続いて顕れることが多いものです。脆弱な身
辺社会的自立という基盤の上に、成人神経症が始まります。
身の周りの身辺社会にあって、自立に葛藤している幼児の意識は原意識です。
原意識が自立を達成すると前意識となります。前意識的主体は扶養者付与理念
のうち、身辺社会的自立に関する他発性原意識的理念を克服して、しかし、存
在界全体に関する対象観に関しては、他発性前意識的理念に従う主体性です。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-15.htm}
<自由の行動から見た生育史>
⇒{参考資料1}<自己主体性の理想生育史>
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/reference-1.htm
第一反抗期から第二反抗期に至るまでのこの前意識的主体は、他発性前意識
的理念に従いながらも同時に、徐々に第二反抗期に向けて自律葛藤状態に這入
っていきます。第二反抗期で頂点に達するこの自律葛藤に於て、晴れて自発性
前意識的理念を措定できれば、成人の仲間入りができるのです。
人はその持てる自由を常に内省しながら、存在観を持たねばならないことを
基礎編で述べました。自由の内省は、反省的側面に於て社会観、家族観などを
含む世界観を立て、内観的側面に於て価値観を定立します。
自律を抑圧されることは、この内省を差し止められることです。従って、自
発理念(価値観)を産出できなくなります。自由を持つことが直接阻止される
のではなく、自由が与えられたが、この自由に扶養者の与える理念とは別の、
自前の理念を持つことを阻止されるのです。
⇒{参考資料1}<存在観=アイデンティティの形成>
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/reference-1.htm
自由を内省しても自前の理念を得ることができなければ、存在観は成立しま
せん。存在観は上の参照座標の(+・+)域にありますが、神経症の人は価値
観の不成立と同時に、世界観も未熟であるままなのです。(+・+)域には決
して踏み入れないのですから。
存在観が成立しないことは行動が不能であることであり、これはそのまゝ、
自由が損傷している様態であることを示しています。
下の座標の交点0がその位置で、順次放射度の強大になるにつれて、「自由
拡張症候群」の四病型が占めています。その最大度にあるのは、「狂気症候群」
です。
交点0は自由拡張症候群が力を喪った状態なので、「自由損傷症候群」と呼
び、これを神経症の新しい病名とします。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-1.htm}
<存在の意志発動の強度=自由力強度>
注:図の左が「自由力強度」座標で、右が「存在度」の座標です。
右の座標は90度時計回りに回転させて見てください。
左右の座標は重ねて見ます。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-1.htm}
〈”根本情態”域と根本情態性が発動される存在度〉
注:こちらは頭を横にして見ます。
同じ上の参照URLの最初にある〈”根本情態”域と根本情態性が発動され
る存在度〉の座標上に、自由拡張症候群の四病型をそれぞれの域に位置させる
ことができます。(+・+)域は狂気症候群で、●で表わされた根本情態性の
最下底域が自由損傷症候群です。
これによって自由損傷症候群は”不安、絶望、混沌、恐怖”の根本情態性に、
最強度に晒されていることがわかります。
自由が損傷することは、”怯える、慄(おの)のく、恐れる、竦む”ことで
す。しかし、実はこの情態は自由拡張症候群の力の最小度にある、「根本情態
性遮蔽症候群」の情態です。
自由損傷症候群はこの座標の外に転落しています。転落したところは、裏側
にある本能の領域で、その発動である根本情態性それ自体です。「自由損傷症
候群は根本情態性に捕縛された状態」にあって、主体性を喪ってしまっている
ということが、真相なのです。
「根本情態性捕縛」状態がパニック障害の主症状である「種々の自律神経症
状」の原因です。また「主体性喪失(崩壊)」状態が「幻覚と妄想」の原因で
す。
いま、〈”根本情態”域と根本情態性が発動される存在度〉の座標で自由拡
張症候群の四病型の存在度を展開しましたが、これをtenp-21で〈自由拡張症
候群の存在度〉の座標に表示しました。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-21.htm}
〈自由拡張症候群の存在度〉
この四病型を割り振った座標は、下の座標に見るような感情の力学を示しま
す。
⇒{精神病理学}〈自由拡張症候群〉
注:〈〉カッコ付き検索
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/psycho.htm
この〈自由拡張症候群の存在度〉の座標の四領域に配置された自由拡張症候
群の四病型の各々は、その主体性としては、やはり上に見た{精神病理学}の
頁の〈自由拡張症候群〉の座標のようにその主体度を展開します。
その各々の主体度の表示は下の各座標です。
⇒{精神病理学}〈虚偽症候群〉〈狂気症候群〉〈判断停止症候群〉
〈根本情態性遮蔽症候群〉の四座標。
注:すべて〈〉カッコ付き検索。
偽自律と自律葛藤、及びその存在度
自由損傷症候群の場合にも、上で見た自由拡張症候群の四病型を1つの座標
の四領域に割り振ったように示すことができます。
”癇癪、不機嫌、わがまま、甘え”は、それぞれ下の参照座標のように、
〈狂気症候群〉〈虚偽症候群〉〈判断停止症候群〉〈根本情態性遮蔽症候群〉
に対応した位置にあります。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-21.htm}
〈自由損傷症候群の偽自律の存在度〉
自由拡張症候群の四病型はそれぞれ独立しており、基本的には一個の人格は
ひとつの病型をのみ纏(まと)っています。しかし、一個の人格はこれらの病
型間を移行することがあり、移行すれば、人格は当然変異します。そういう過
渡時にはまた特に、人格は日内でひんぱんに変異します。
自由損傷症候群の場合も同じで、癇癪と不機嫌のこの二つの偽自律様態は、
普通は一個の人格にひんぱんに混ざり合うことはありません。従って、独立し
た病型として示すことができるので、座標名に〈存在度〉を使って〈主体度〉
から区別しているわけです。但し、存在度と主体度は本来、同じ意味です。
〈自由拡張症候群の存在度〉と〈自由損傷症候群の偽自律の存在度〉は、精
神主体存在と自己主体存在のそれぞれが持つ価値の違いを価値度で表わすのと
同じに、〈存在度〉ではなく〈価値度〉で表記することが正当です。
精神病に於ける、分裂病と躁鬱病は病型の違いだけであり、価値度の差はあ
りません。しかし、自由拡張症候群と自由損傷症候群のそれぞれの病型は、そ
の自由力量(度)の差を価値度としても表現できるものです。
下の参照座標は、その四つの価値度にある自由損傷症候群の、各病型のそれ
ぞれに当てはまる〈主体度〉です。
〈偽自律の存在度〉では「甘え」は(−・−)域に示されていましたが、そ
れは病型の対比の中でのことで、ここではその「甘え」を価値度とする人格の
主体度の展開を示します。他の三つの価値度にある人格も、それぞれ個別にこ
の座標上で日常行為の主体度を展開します。
それぞれこの主体度を展開しながら、〈偽自律の存在度〉上でも展開するこ
とはあり得ます。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-21.htm}
〈自由損傷症候群の自律葛藤の主体度〉
上の座標の(+・+)域は、幸福、満足の領域です。自由損傷症候群である
かぎりは、この域に彼のアイデンティティがあるのです。これがアイデンティ
ティとして安定し得るので、自由損傷症候群という疾患を離脱することの難し
さがあるのです。
それはまた自由拡張症候群にも言えることです。
上の座標で(+・−)域の「上位葛藤」は、普通は「不機嫌」をアイデンテ
ィティとする人格の自律葛藤症状です。
「わがまま」をアイデンティティとする人格は、「中位葛藤」の自律葛藤症
状を普通は示し、「甘え」のアイデンティティでは「下位葛藤」の自律葛藤症
状を示します。
「甘え」の場合、(−・−)域の「服(したが)う」や「従う」が、その主
たる葛藤症状で、中位や上位の葛藤症状は偶にでてくるものだと考えてくださ
い。そうすると彼の主体度は、(−・−)域から、一気に(+・+)域の「甘
え」の偽自律にジャンプするかのような様相を呈します。
また、「不機嫌」では(+・−)域と(+・+)域の不機嫌の、この2領域
しか動かないように見えます。
しかし、大なり小なり自由損傷症候群ではない人は居ないはずなので、読者
のみなさんも自分自身を観察していれば、すべての域を生活している自分を発
見できる筈です。
しかしまた、「不機嫌」のアイデンティティにある人は、不機嫌から転落す
ると、(+・−)域で頑張ろうとし、「わがまま」のアイデンティティの人は、
(−・+)域まで落ち込みやすいと言えるのです。
つまり、tenp-21の〈偽自律の存在度〉(=価値度)の座標と、同じ〈自律
葛藤の主体度〉の座標は重ね合わすことが可能です。なぜ重ねることができる
のか。自由拡張症候群でも四病型を配置した座標と、それぞれの主体度の座標
を重ね合わすことが可能です。
tenp-21の〈自律葛藤の主体度〉の(+・+)域に【癇癪・不機嫌・わがま
ま・甘え】と並記しているのは、癇癪以外はすべて癇癪をあこがれの表情で見
つめているという意味を含んでいます。
いま、その(+・+)域に、同じtenp-21の〈偽自律の存在度〉の座標を4
分の1に縮小して填(は)め込んでみてください。偽自律度(自由力量)が小
さい、「甘え」の人は(+・+)域の満足に達しても、他の三病型に較べて最
小の場合、4分の1の大きさにしかならないことになります。このことが、
「甘え」のアイデンティティの人には常なる不満なのです。
更に、〈偽自律の存在度〉の座標を(+・−)域、(−・+)域、(−・−)
域にも、それぞれ置いてみてください。ベクトル(アイデンティティの方向:
意訳)は明きらかに(−・−)域の最下底を指しています。同じように、「癇
癪」のアイデンティティのベクトルを想定すれば、(+・+)域に集塊してい
きます。
二つの座標の重ね合わせは、上述の意味で可能なのです。
具体例:資本主義社会に於ける自由拡張症候群の、成功者への地道
な努力は(+・+)域の完全領有という理想に向かいます。
例えば普通の会社勤めのサラリーマンを思い浮かべてくだ
さい。
薄給で、しかも会社の経営方針にも口を差し挟めない平の
彼は、自由損傷症候群の「甘え」のレベルです。しかし、
その働きが認められて、昇給+αを得ると、俄然、彼にも
色気が出てきます。
こうして彼はその自由力を、「もっと、もっと」と欲望し
続けるのです。私達の地球はこの相乗効果のパワーによっ
て、いま危殆に瀕せられています。
そこから言えることは、「癇癪」のアイデンティティには自律葛藤症状がほ
とんどない、ということです。癇癪は、自由拡張症候群の狂気症候群に匹敵す
る自由力量を発揮します。しかし一方では、「自律しなければならない」のに
「自立に小児返りしている」実態に引け目を持っています。
しかし、「自律」を達成するには、強力な根本情態性に素手で立ち向かわね
ばならならず、最強のパワーで何一つの不足もない今の状態が、彼にとっては
ベストなのです。できれば彼はその位置から動かずにいたいと願っているのです。
そういう特異な心理機制が、彼をして自律葛藤に突入することから遠去けて
しまいます。現実には、癇癪だけで世渡りできるわけではなく、会社の中では、
同輩ならいざ知らず、上役や先輩、また得意先があり、彼の価値度(自由力度)
は不機嫌やわがままや甘えを移行、推移し、従って上、中、下位の葛藤症状は
ひんぱんに起きるでしょう。
しかし、家庭に帰れば、両親や妻や子供に対して癇癪を破裂させて、最強の
自由力の独裁体制の幸福を噛みしめるのです。
通常神経症と精神神経症
人間が持ち得る理念は、自己主体性価値と精神主体性価値の他にはありませ
ん。神経症はこの二つの主体的価値に於て罹患するのですが、精神主体性価値
による神経症の方には、「偽自律」の症状はありません。それゆえ「仮想主体
性」という立場に甘んじなければなりません。
この講座が対象とするのは、自己主体性価値による神経症の方で、精神価値
によるものを「精神神経症」と呼ぶのに対して、「通常神経症」と呼びます。
ともに自由損傷症候群のカテゴリーであり、並症することもあります。下の
頁を参照して理解を深めてください。
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-5.htm}
<主体性の様態と疾患>
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-19.htm}
<仮想主体性>
⇒{http://www.dokidoki.ne.jp/home2/planetx/tenp-20.htm}
<精神神経症と精神病発病時精神神経症>
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