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               そううつ病、精神分裂病 第一回入門講座 

                        病理編  6
             
  週2〜3回配信   1998.08.24.    通しNo.10       読者数 169 人

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              ● NO.11




      〈根本情態性の背進了解による個体度〉(A相:個体存在) 

                    ∴意義症型―主体感情型の場合


                      内判断の不自由
                 (―)                                 
       ┌──────┐    │   ┌─────────┐           
        │呪い―激越鬱│      │   │根本情態性―純粋鬱│          
       └──────┘    │   └─────────┘            
                          │            ┌─┐        
   ┌─┐            │   走り回り     │−│        
   │−│ 服を摘んだり     │   壁に身体を打付け │・│        
     │・│ 髪を弄くり回したり  │   叫び       │−│        
    │+│ 手を擦り合わせたり  │   泣き喚き     │  │        
    │  │ 耳を引っぱったり   │   呻く       │域│        
    │域│            │               └─┘        
    └─┘     (自己への呪い) │   (罪過)興奮                  
               ──────   │       ──                    
     現実の良                 │                現実の不良           
   (+)─────────────┼───────────────(―)    
                       0│                                        
      ┌─┐  (救済)誇大妄想  │ (自己への咎)                 
      │+│    ──            │  ─────                    
      │・│            │            ┌─┐         
      │+│  ┌───────┐ │   自己への懲らしめ │+│         
      │  │  │摂理調和=幸福│ │   身体を掻きむしる │・│         
       │域│  └───────┘ │   身体に傷を付ける │−│         
     └─┘           │   自壊       │  │         
     ┌──────────┐  │   自殺       │域│          
     │蝋屈 │(−・−)域│  │            └─┘          
     │強硬 │      │  │   *緊張病性致死               
    │┌────────┐│  │                                       
    ││自由の無―制止鬱││   │      ┌──────┐                   
    │└────────┘│   │      │怒り―激越鬱│                 
     └──────────┘ (+)    └──────┘                    
                              内判断の自由


                      ‥
   ∴(+・+)の摂理調和域の、下の枠内はB相(主体存在)の極を
     を表しています。この主体存在の極は、A相であるこの座標を
     背進了解させる引力源としてここに示しています。
     即ち、この座標の右上の根本情態域と引き合って、その全域を
     開示する力です。
   ∴ 「蝋屈」は蝋を火で炙ると容易に曲げることができ、冷えると
     固まってその形状を維持し続けるように、患者の手足、体を曲
     げてやると、その曲げた形で再び強硬状態を維持し続けること。

 

 



                                              ‥    …
                   〈相関する二相〉(主観型ではB相はB相となる)


                                                           ‥
                     A相                                  B相
                 〈個体存在〉                          〈主体存在〉

        ┌──┐  │┌─────┐        ┌──┐ │ ┌──┐       
       │呪い│  ││根本情態性│        │怒り│ │ │自由│      
       └──┘  │└─────┘        └──┘ │ └──┘      
                  │                            │           
      (−・+)域  │(−・−)域        (+・−)域  │(+・+)域     
             │                     │           
        ──────┼──────          ──────┼──────     
             │                     │            
      (+・+)域 │ (+・−)域        (−・−)域  │ (−・+)域     
           │                        │                 
    ┌────┐ │    ┌──┐     ┌────┐ │  ┌──┐       
    │摂理調和│ │    │怒り│     │自由の無│ │  │呪い│       
    └────┘ │    └──┘     └────┘ │  └──┘       



 




                  〈主体統覚型の相関了解の力学〉


                                         個体存在(A相)   根本情
                                      ┌───────────┐態              
                                /    │          │    −    │性              
                             //     │          │    ・    │                
                          ///      │          │    −    │                
         斥力作用      ////       │          │    域    │                
                                      │─────┼─────│                
                ////              │    +    │          │                
               ///                 │    ・    │          │                
              //                    │    +    │          │                
             /                       │    域    │          │                
              ┌───────────┼───────────┘                
              │          │    +    │                 ////               
              │          │    ・    │                ///                  
              │          │    +    │               //                     
              │          │    域    │              /                        
              │─────┼─────│                                        
              │    −    │          │          /   重力作用      
              │    ・    │          │       //         
              │    −    │          │    ///                              
            自│    域    │          │ ////                               
            由└───────────┘                                        
            の無           ‥
                  主体存在(B相)
 





     〈根本情態性の背進了解による自生世界〉(A相:個体存在)
┌────┬───────────────┬───────────────┐    
│意義症型│ 根本情態性         │ 摂理調和           │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│主体感情│罪過、悪霊          │救済、神の声         │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│主体官能│疾病             │病人を治せる         │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│理性  │世界没落、          │世界救済、キリスト、神、天使 │    
│    │嵐や戦争などに襲われる    │               │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│悟性  │貧困、餓死          │金持ち、遺産、発明、語学堪能 │    
│    │               │超人、血統、天才、超能力   │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│概念力 │迫害、被害          │世界支配、王、皇帝、女王   │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│本能感情│殺害、            │永遠の命           │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│本能官能│嫉妬、離婚          │結婚、恋愛、性愛       │    
├────┼───────────────┼───────────────┤    
│知感覚 │被毒、身体の中に毒素がある  │妊娠、キリスト懐胎      │    
└────┴───────────────┴───────────────┘    


   ∴ ”根本情態性”の了解は、すべて”被る”ことで、たとえば、
     「本能感情」の「殺害」は、「殺される」妄想、幻覚です。
     また「主体感情」の「悪霊」は、「悪霊に憑依」されることです。
   ∴ 座標での(+・+)の摂理調和域は「誇大妄想」とありますが、
     ”摂理調和”の了解もすべて、”救済される”ことで、たとえば、
     「恩寵ある”神の声”を聴き」「病人を治したり」「世界を救済
     する」能力を”与えられる”ことに主眼があります。

     キリストや神や女王になることも、その地位によって”天国”的
     なものへと”救済と恩寵を与えられる”ことを示しています。
     これらはA相の”自然の摂理性”を表しています。”自然”は
     「おのずから然らしめる力」であり、人間以前に有るものです。
     人間は自然の力で生み出され、自然によって災害や病気などの
     災難を”被り”、同時に安楽と快適を”与えられる”のです。

     ∴ 自由損傷症候群の通常神経症では、”摂理調和”の了解は、「所有、
         支配の力」の付与による救済の意義となります。従って、この項目は
        ”身体力”の項目に書き換えられます。

  

 

 



              ● NO.12



                        〈主観型の相関了解の力学〉


                                                   …
                                         主体存在(B相)    自由  
                                      ┌───────────┐                
                                /    │          │    +    │                
                             //     │          │    ・    │                
                          ///      │          │    +    │                
         斥力作用      ////       │          │    域    │                
                                      │─────┼─────│                
                ////              │    −    │          │                
               ///                 │    ・    │          │                
              //                    │    −    │          │                
             /                       │    域    │          │                
              ┌───────────┼───────────┘                
              │          │    +    │                 ////               
              │          │    ・    │                ///                  
              │          │    +    │               //                     
              │          │    域    │              /                        
              │─────┼─────│                                        
              │    −    │          │          /   重力作用            
              │    ・    │          │       //                    
              │    −    │          │    ///                              
            根│    域    │          │ ////                               
            本└───────────┘                                        
            情態性   個体存在(A相)



 


                  〈B相:主体存在の”自由の無”の了解〉

   主体存在の自生世界の存在運動は、『本能統覚型』を除いてすべて
  『理性型』と同じです。しかし、『理性型』は存在運動の統制に関し、
  『主体統覚型』は存在運動を推進する力に関し、『主観型』は存在運
  動の同一性の措定に関しています。この“自由―自由の無”の主体度
  の了解に於ける“自由の無”の状態の、対他者に対する態度は順に、
  「命令自動」、「強硬」、「反響」であり、この意義症型の知感覚型
  の自生世界観は、以下のようになります。


  〈理性型〉:命令自動=統制力の被破壊状態を表現する。
         ※既にその一部をtenp-10 の表にあらわしました。

   (身体破壊妄想)                           
  『精液が電気で吸い取られる、額が凹んだ、睾丸が破裂させられた』
  『背中が裂けた、筋肉が剥ぎ取られ、磁石で肩が取り去られる』
  『首が押し潰される、足が刻まれる、動脈が掴まれて切断される』
  『内臓が引っぱり出されて千切られた』                  
  『肛門が裂かれる、肛門の中で子供たちが掘り回る』            
  『頭の骨が抜かれる、心臓が盗まれる』                  
  『子宮は愛されたことがちっともなかったので腐って尻にぶら下がっている』
  『目が抉り出される、脳が溶ける』                    


  〈主体統覚型〉:強硬=推進力としての力の喪失を表現する。
             
   (身体微小喪失妄想)                         
  『身体が内側に縮まる、手足が小さくなる』
  『骨の中に晒粉が入っている、身体の中が草と苔で一杯だ』         
  『ガラス板で閉じ込められている』                    
  『足が馬の脚になった、頭の中に甲虫がいる』               
  『麻酔を掛けられる、鉄の舌がある』                   
  『頭の力が弱められる、白痴になる、間抜けになる、脳が縮まった』
  『血が止まっている、子宮の感じが抜き取られた』             


  〈主観型〉:反響=展開力としての力の喪失を表現する。            

   (身体解体妄想)                           
  『肺が刺される、冷たさに巻きつかれる』
  『脳が分かれる、脳が冷たい、耳や頭を吹いて膨らます』
  『電撃が与えられる、百匹の鼠が背中の上を走り回る』
  『心臓が縫われる、血が口や鼻から出る』                 
  『腸が巻きつけられ平にされ積重ねられる』
  『大便が脳の中へポンプで押し出される』
  『性器が水平に引き出されてまた垂直に押し込まれる』           
  『胃が上がったり下がったりする』                    
  『火が口から迸る、身体がバラバラになる』                
  『腕や足が痛む、皮膚が痒い、内臓が燃えるような焼けつくような感じ』   
  『摘まれ引っぱられる、咽喉が圧しつけられる』